茨城放送は「音楽と食とアートの祭典」をテーマに、7月15日(土)、16日(日)、17日(月・祝)の日程でLuckyFesを開催します。

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【LuckyFes】7月23日LUCKY STAGEライブレポート

太陽の光が燦燦と降り注ぐ、朝の10:30。まだ早い時間にも関わらず、期待と興奮に満ちた様子のオーディエンスが、LUCKY STAGEのフロアで始まりの瞬間を待っていた。

そんな良い雰囲気の中、オープニングアクトとして登場した、SHOWROOMオーディション優勝者の高見梨奈とMAYAは、それぞれ元気いっぱいの歌声とステージングで、声優・俳優・アーティスト・いばらき大使という様々な肩書を持つ安達勇人へとバトンを繋げた。

MAYA
高見梨奈

オーディエンスのクラップを促した「CHOCO-MINT BLUE」や、「皆さんの心を熱くしに来ました!」という掛け声から、オーディエンス全員参加型の「みんなでWOW」や「人類から騒ぎ音頭」などを続々披露。オーディエンスにとっては恐らく他人であろう前後左右にいる人たちとも一体となり、全員が笑い合いながら音楽と共に盛り上がる活気に溢れた様子は、始まりを告げるトップバッターに相応しいものだった。

安達勇人

2組目のNagie Laneは、今回のGreen Festival‘22唯一のアカペラグループ。野外ライブが初ということだったが、6人の伸びやかで美しい声が作り出す極上のサウンドは、天井の無い広大な空に向かって美しく響き渡っていく。「アカペラをゆっくり聴こうと思っていた人たち、私たちのステージでは踊ってもらうよ~?」とオーディエンスを鼓舞してプレイされた「花と蜜」は、スタイリッシュさのなかに甘さと華やかさが漂うナンバーだ。その後も、6人が影響を受けたという大滝詠一の「君は天然色」や、PIZZICATO FIVEの「東京は夜の七時」などを盛り込んだ「City pop Medley」を披露し、バラード「あのね、」を織り交ぜながらも、終始会場を楽し気に揺らしていった。

Nagie Lane

続いてシンガーソングライター・磯山純が、チェロとピアノを担当する2人のメンバーと共に、この日はJUNCLASIXとしてトリオで登場。「Love is blind」や「君の手」など、叙情的な歌声と鍵盤の調べ、チェロの荘厳な響きが融合したサウンドが、灼熱のステージに凛とした空気をもたらしてくれた。「優しさが問われる時代だけど、互いに分かり合おうとする努力が必要だと思う」という、今の混沌とした時代を生きる人たちへのメッセージが込められた「Think of you」は、多くのオーディエンスの胸にじんと響いたに違いない。

磯山純

多くのアーティストへの楽曲提供を行い、作曲家/作詞家としても名高いシンガーソングライター・マシコタツロウは、清々しいメロディと歌声が灼熱のステージに爽快感をもたらす「三度目の夏子」や、身近にいる大切な人への愛情が滲む「限りないもの」などを続々とプレイ。さらに、音楽家になる前のエピソードを踏まえつつ、人生の転機を迎え、今こうしてステージに立って歌っているという喜びを歌詞に重ねた「JBFreeway」や、マシコが作曲を手掛けた一青窈の代表曲「ハナミズキ」もプレイし、彼の歴史を紐解くような素敵なステージだった。

マシコタツロウ

ここまでシンガーソングライターやアカペラでのライブが続いたが、Nicori Light Toursのライブからは空気が一変!4カウントを合図にスタートした「蜃気楼Girl」は、ギターの歪みと力強いビートが会場の地面を揺らすが如くパワフルに轟く。透明感と艶やかさという異なる声色を持つボーカルが絶妙に絡み合い、時に激しく、時に切なげにユニゾンすると、会場のボルテージは一気に上がっていく。ベースが牽引する「DATSU!!!」では、バンドもオーディエンスも一体となってヘドバンをしながら、この日一番の極太でヘヴィなグルーヴを生み出していた。

Nicori Light Tours

そんな白熱したライブの次に登場したのは、CHAIの4人だ。フロアに向かって「We are CHAI!楽しんでいってねー!」と明るく挨拶し、ベースとドラムがクールなビートを生み出す「END」でライブをスタートさせる。ステージを自由に行き来しながら、チャーミングな笑顔で楽しそうに踊るダンスナンバー「PING PONG!(feat.YMCK)」を届けると、人気曲「N.E.O.」では会場一体となって飛んで跳ねての大アクションを生み出す。ピンクが鮮やかなふわっと裾が広がる衣装から、早着替え的に、これまたカラフルでタイトな衣装へと変身するなど、楽曲のみならず、視覚的にもアメイジングでファニーなライブで、終始オーディエンスを虜にしていた。

CHAI

そして、ここで状況が一気に変わる。急激に発達した雷雲の影響で落雷警報が発令され、ライブが一時中断し、観客もアーティストも全員が避難するという事態になったのだ。LUCKY STAGEは丁度転換中だったこともあり、ライブの中断は回避できたものの、おびただしい量の降雨を前に再開への不安が過った。けれど、そんな最悪の展開は無事に免れ、雨は降り続きつつもライブは再開!会場に戻ってきた人の顔には、笑顔が見えた。

そんな夏らしいハプニングもあった中、豪雨が運んできた肌に張り付くような湿気を吹き飛ばすべく、ステージに現れたのは、4ピースバンド・ヤユヨ。1曲目に「現実はうまくいかない/湿度の高い部屋で考えていないで」という歌詞がこの状況にばっちりハマる「futtou!!!!」をプレイし、パワフルなボーカルとリズミカルなビートが、オーディエンスの身体を揺らしていく。雨の良い演出にしていこうと声を掛けつつ、「めっちゃいい思い出になると思います!」と励ましの声を掛ける。安定しているとはいえない天候の中でも、彼女たちのライブのお陰でポジティブに切り替えることができたし、ヤユヨの音楽にはそういう前向きにさせる力がある。彼女たちにとって大事な楽曲だという「キャンディ」に至るまで、ヤユヨの曲と明るさに元気をもらった。

ヤユヨ

そして、この日のLUCKY STAGEのライブアクトのトリを担ったのは、Ivy to Fraudulent Game。雨が降ったり止んだりを繰り返しながらも、最後まで楽しみたいという強い気持ちをもったオーディエンスが、彼らの登場を待ち望んでいた。そしていよいよメンバーがステージに登場すると、「言いたいことなんで山ほどあるけども、すっごくワクワクしています!」と心の高ぶりを露わにしつつ「Day to Day」へと勢いよく突入!続いて、暗闇の中で降りしきる雨粒が照明に当たってキラキラと輝く中でプレイされたのは、「檻の中から」だった。不遇にも思える悪天候がもたらす、この状況でしか生まれない、眩しいほどの煌めき。そんな美しい光景の中で歌われる、この「檻の中から」が持つ前向きな想いが増幅して伝わるような気がしてならなかった。

そしてその予感は、オーディエンスが拳を振り上げて呼応している様子を見て確信に変わった。例え雨でも、例えコロナ禍で声が出せなくても、正面から向き合って気持ちをぶつけ合うことができるライブでは、言葉を交わさずとも共鳴することができる。そうしたライブでしか味わえないエネルギーが満ち溢れていた。そこから、儚くも凛としたメロディが夜の冷え込む空気に似合う「夢想家」や、疾走感溢れる「泪に唄えば」や「革命」など、続々とプレイ。「ここに来たお前たちは間違ってないんだよ!」と力強いメッセージを伝えつつ、ラストに、今、この瞬間を生きる意味を問う「Memento Mori」をプレイし、「俺らはここにいる人を全肯定する!俺たちが君のロックバンドだ!」と言葉を残し、ステージを後にした。

Ivy to Fraudulent Game

DJユニット53+84が骨太なビートでブーストした後、今日は打ち上がらないだろうと諦めていた花火が、雄大な大空を華々しく彩った。

53+84

その花火を見ながら、この日のLUCKY STAGEを振り返ってみたのだが、Green Festivalのコンセプトでもある「クロスオーバー」という言葉に集約されているなと思った。第一回目のフェスとしてのカラーを構築する為に「統一感」を重視するのではなく、その真逆をいくかのように、形態においてもジャンルにおいてもシームレスなステージを作り上げていた。多様性という言葉が今まで以上に行き交う時代になってきたが、そうした世相を反映するかのような自由度の高いラインナップに、驚くと共にワクワクした。さらにここから、来年、再来年と進んでいくにあたり、どんなアーティストを迎えて、私たちの心を躍らせてくれるのか?まだ今年のイベントが終わって間もないが、未来への期待が膨らむ。そんなドラマティックな一日だった。

(取材・文:峯岸利恵/撮影:オオハザマノリト)

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